2012年5月3日木曜日

寝れない夜長にどうぞ


あれは・・・じっとしているだけでも汗が垂れてくる日の出来事。

夏休みを利用して当時大学生だった兄のアパートへ遊びに行った。

名古屋という未知の場所、自分では冒険家の気分だった。

電車に乗って、右や左 キョロキョロと他の人と違っていないかな?

大丈夫かな? 

小心者のボクはドキドキしながら世間の日常に馴染んだ。いや馴染もうと努力した。

今まで見たことがない景色に見惚れ、鼻が窓ガラスにくっつきひんやりと冷たい。

田舎者丸出しだがひんやり感が心地いい。

ガタンゴトン ゴトンゴトン 自分の心臓の鼓動と共鳴している。

銀河鉄道999 鉄郎も味わった気持ちだ。


都会。夜景。DCブランド。憧れだった。







中学生だったボクは昼間 兄からなんちゃって大学生の遊びを教わった。

人生で初めてビリヤード・・・玉突きもした。

くわえタバコに憧れ、ボクもこんな大人になる!と心に誓った。


そこでセミロングの彼女にペコリと挨拶した。

メーテルほど髪は長くなかったが美人だった。

『へぇ~ノリの弟?』



う~ん、いい匂いだ。。。

胸元に目線がいく。

しょうがないよね・・・ボクは中学生だし。

周りからはキョドって見えたに違いない。

『可愛い弟だね~』 精一杯の褒め言葉を言ってくれた。



人生で初めてモスバーガーを食べたのもこの時だった。

食べ方が分からず半分以上タレをこぼし、彼女がケタケタ笑った。

勿論、最後タレだけをすすってたボクはそんなことは気にしなかった。

今でもモスを食べると思い出すシーンだ。



ブランドショップ 生地は全部テロテロしていた。

こ、これがDCブランド???

かーーーちょえーーー!!!

店員さんのミャーミャー言ってる説明を聞きながら、言われるままに購入。

モテモテな自分を想像しながら兄のアパートへ。



なぜか・・・・・アパートの空気がおかしい。

もしかして?

もしかする?

そんなボクの予感はあたってしまったのだ。




まだ14インチのテレビはついている。

会話がなくなってしばらくして返事がなくなった。

兄は眠りへ・・・

ボクはこの空気が気になり疲れていたものの様子を伺っていた。

テレビは砂の嵐へ・・・

砂の嵐の音は苦手だ ぽちっと押した。


周りは静かな世界だった。

部屋の隅に置かれた扇風機が 『ジーコ ジーコ 』 音を立てているだけだ。

壁にうつかりながら

これから何もないことへの願い。

そして明日の妄想をしていた。


ん???

さっきまで きていた風がこない・・・

『ジーコ ジーコ 』 音はしている。

恐る恐る扇風機を見ると首振りがおかしい。

何かに引っ張られるように みるみる反対の方へ向いてしまった。

『ヤ、ヤ・・・ヤバイ!来た!』


一瞬にして部屋の温度が下がった。

暗いのでよくわからないが、周りは草原のようだ。

草がさわさわと揺れているのがわかった。

いつものように2重の映像だ。



突然ボクの死角から黒い袈裟を纏った老人がボクの右横にあぐらをかいてドカッと座った。

今のボクの格好と一緒だ。

なんでか並んで座ってきた。


老人は忙しそうに胸元から何かを取り出した。

帳面のようだ。 しかし分厚い・・・

縦長に結わえてあり、それを向こうへ送り出すように一枚一枚めくりだした。

老人に話しかけようと口を開けた瞬間、ギロっとボクを見つめ黙って見ていろ。

と言われた。そう感じたのか・・・ 老人の口が動かないのだ。不思議である。

ボクは半開きの口を閉じた。


老人を観察していたせいか、周りに気が付かなかった。

遙か彼方まで蛇行した提灯の灯が見える。


数えられる数ではない。

光の線のようであり、近くでは提灯の灯り。

何が始まるのか?

また怒られそうなので老人には聞けない・・・いや聞いてはいけないのだ、多分。



そもそもボクのことなど誰も気にしていない。

目の前を提灯を持った人達がものすごい勢いで通り過ぎていく。

一人ひとりは確認できないスピードだ。

速すぎて顔なんか見えない。

ブンブンと風が伝わってくる。

それを老人はテキパキ確認をしているようだ。

とにかく忙しそうだ。


はは~ん なるほど・・・この帳面の厚さと同じ人数分の人達が通るってことね。

冷静に状況判断できたボクは心に余裕ができた。




そして、最後の一人が通り過ぎると老人は帳面を懐にしまい、

立ち上がるとボクのことなど忘れたように見向きもせず

またボクの死角へと消えていった。

まぁ結局朝の5時まで続くことになったのだが・・・なぜか眠くはなかった。




次の日も暑い日だった。

16日の晩 貴重な体験をしたことも忘れさせる気温だった。




日本では迎え盆・送り盆がある。

この世とあの世を移動する日だ。

それを支えているあの無口な老人の存在。

今度会ったら『ご苦労様です』と言ってみよう。


二度と会えなくとも、ボクは決して忘れない。

あの目を・・・あの顔を・・・





地域の方に心を込めて健康づくりをお手伝い



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